Saturday, May 11, 2013



最初の技は「二教裏」でした。痛いのに我慢する私を見て、先生に「痛かったら叩くんだよ。我慢するもんじゃないよ」と言われ、「あぁ、これは私の人間としての歪みを正してくれるものなんだ」と思いました。いつも強がりだったんですよね。
そういう感覚で最初の技から稽古してきました。

スペインで合気道を始め5年たったとき宮本師範に出会い、「3ヶ月だけ本部道場で稽古しよう!」と決心し日本に向かいました。ここには「心の指導」もしてくれる先生がいるだろうと信じて。でもそうは感じなかった。技を黙々と繰り返し、行う。ここでも私が期待していた「人間としての稽古」は見当たらなかった。優しい先生もいれば厳しい先生もいるがなぜ合気道は「愛と平和」の武道なのか、その「心」とは何なのか、「技術」と違うものを先生方は教えてはくれなかった。
今思えば「受け入れる」、「変わる」体制になかったのは自分自身だったのだ。
自分が昔やっていたことに限界を感じ本部道場に来たはずなのに「ここでやっていることは私と違う」と自分を正当化し、またここでも同じ稽古を繰り返していた。だがある日気づいた、「私はただ同じ事を繰り返しているだけ。ここの合気道はあーだこーだと言い、本当の所は見ようとしていないし変わろうとしていない。自分は正しいと思い込み、新しいことを受け入れる体制にはなかった」と。そして動きを止めた。実際、動きすぎていたのだ。
中からでは見えないものがある。外からではないと、動きを止めないと分からないものが…
そして少しづつ変わりはじめた。

相手を潰したその後に

ある日私は女性と稽古をした。彼女はとても攻撃的だった。「負けるもんか!」「必ず勝ってやる!」「こんちくしょう!」の「戦い」をした後、最後の十分は見学となってしまった。彼女を見事に「潰して」しまったからだ。二人大人しく座り、皆が稽古を終わるのを眺めた。そして深く反省した。「ああ、愚かだった」、「こういう稽古はしたくない」、「もっともっと相手と和解した稽古をしていればこんなに悔しくて辛い思いをすることはなかったのに」と思った。

本当に相手を聞きながら稽古をしていれば、「愛」を持って稽古をしていればどこまで投げればいいのか、少しリズムを下げたほうがいいのか考えずにも出来ると思う。
いや、むしろ考えないから出来るのだ。「感じる」ことで。
今思えばあれは避ける事ができない戦で人を殺めた後残る後悔と同じではなかろうか。「ああ、己を忘れ本当の自分の心と裏腹に人を殺めてしまった!」悲しさ、後悔、罪悪感、でももう償う事は出来ない。いくら「ごめんなさい、ごめんなさい。もう二度としません」と泣き叫んでもその人は息を吹き返すことはないのだ。殺された人。殺した人。その最後の瞬間にお互い「あぁ、命はこんなにも掛け替えのないものなのか」と感じたのかもしれない。でももう遅い。もう何も出来ない。絶望、そして命への責任。以前なら「死んで償いを」となったのかもしれないが命の大切さに気がついた今、それは出来ない。自分の罪の重さ、愚かな自分。「人間はこうでもないと命の大切さに気がつかないものなのか」「同じ事をどうにかして教えることは出来ぬのか。殺めずに気がつかせることは出来ぬのか」そういう気持ちから生まれたのかもしれませんね。少なくとも私はそう感じました。そして私は技をやるときに常に「何を感じているか」見つめています。
こんな風に:
「今投げたとき<ざまあみろ!>と思ったよね」
「うん、そうだね」
「そういう気持ちもあるんだね」
「うん」
「今度は違う風にしようね」
「うん!」
で、続けます。その気持ちを変えようとはしません。嫌とも思いません。拒絶もしません。見つめるのです。愚かな自分と向かい会うのです。そして受け入れるのです。自分の醜い部分をしっかりと見つめ、受け入れ、愛せることができて初めて相手の「醜さ」もわかる人間になれると思います。自分にもある「醜さ」も「悔しさ」も「孤独」も「寂しさ」もただただ受けとめ、包み、愛をそそぎ「技」として返す。だから受けて気持ちいい技になるんだと思います。全ては自分次第なのです。「合気は愛なり」。稽古で、体で、心で感じた事です。
そして「相手を潰す稽古はいかん!」と。
この素晴らしい「道」を開いた開祖、そして責任を持って守り歩んでいる先生方、合気道を愛する世界中の仲間たちに心から感謝したいと思います。
本当にどうもありがとうございます。

Maho Somekawa

1 comments:

  1. La pratique de l'aikido passe par plein d'interrogation. On a le droit de faire des erreurs. En prendre conscience, c'est ce qu'il nous fait progresser. Bon keiko, Maho et à bientôt.
    - S -

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